これほど科学が発展し、科学者では無い一般の人たちに間にもあふれんばかりの情報が流れ込み、私たちは毎日のように科学的あるいは技術的な話題にさらされています。
また、私たちは人類が築いてきた哲学や宗教に関する知識にも触れることができ、無知蒙昧では無くなっているはずです。
しかし、人々は霊的な存在や神仏、そしてそれらに含まれる悪霊や悪魔と言った概念や存在には弱いですね。
実際、統計上の根拠すら薄弱な占いや迷信に基づくまじないに関する本が出れば、それらの内の一定割合はベストセラーになります。
あるいは本来は深遠な哲学や宇宙論を持った宗教が、まじないレベルまで引きずり下ろされた幼稚な解釈が登場すると、やはり人々はそれらにすがり付くのですね。
今月(2月)23日に、中島順聖(せいしょう)という名で悪魔払いを行っていた本名北爪順子容疑者(63才)が、平成23年に当時1才4ヶ月だった女児に暴行を加えて死なせたとして逮捕されました。
北島容疑者は、「あやしていたときに頭をぶつけて」死んだ事故であるとして容疑を否認しています。
しかし、北島容疑者は自宅のアパートに信奉者達を集めては、悪魔払い鳴る儀式を行い、その中で女児に暴行を加えていたといいます。
どのような悪魔払いを行っていたのか詳しくは分かっていませんが、北島容疑者の元には、彼女を信奉する人たちが通い、いかがわしい儀式を行っていたと思われます。
そう、端から見れば誠にばかばかしく信じられない光景だったと想像できますが、人はひとたび心に闇を抱え、その闇の重さを軽くしてくれる人物が現れると、いとも簡単に洗脳されてしまうのでしょうか。
北島容疑者は信者達からは「先生」と呼ばれていたそうです。
死亡した城田麻雛弥(ますみ)ちゃんは、病院に運び込まれたとき、複数のあざがあったため、それを不審に思った病院が警察に通報しました。
麻雛弥ちゃんの母親は我が子が殺されたかもしれないにもかかわらず、北島容疑者をかばい「あざはころんでできた」と話していました。
そしてこの母親は、「北島先生と話をすると心が軽くなった」とも話しています。
北島容疑者の近所に住む人たちの目撃談では、北島容疑者の元に通う人たちには30〜50代の女性が多かったと言います。
また、麻雛弥ちゃんの祖父によれば、麻雛弥ちゃんの兄(13才)と姉(15才)も完全に母親にマインドコントロールされているように見えたと言います。
さらに彼は、北島容疑者が麻雛弥ちゃんい「悪いモノが憑いている」と言っていたことを証言していますが、それを知った段階で手を打てなかったのでしょうか。
テレビでも悪霊払いものや霊能力者を自称する明らかにインチキくさい者たちが登場して心霊スポットの夜の廃病院を芸能人と共にレポートするといった番組は後を絶ちません。
私は科学では解明できていない力や世界があるとは思っていますし、宗教が築き上げてきた壮大な世界観にも真理が隠されていると考えていますが、テレビに登場するような霊能力者はまずインチキだと思っています。
また、拝み屋(エクソシスト)の効力は暗示によるものだとすれば効果はあると思いますが、決して拝み屋の霊力や法力だとは思いません。
しかし、人は(当然自分も含めて)弱い存在です。
ちょっとしたきっかけがあれば、自分でも信じられないほど簡単にあちらの世界に引き込まれてしまいます。
それを「魔が差す」とは良く言い得たものですね。
今回の事件は、見方によっては母親(の弱さや蒙昧さ)が我が子を殺したとも見えなくもありません。
なんとも悲惨な事件です。
【参考】
『「悪魔払い」で1歳女児を暴行死 “信者”におはらい「先生」と呼ばれる63歳女逮捕』