南極の棚氷を調査している英国の研究チーム「MIDAS」が1月7日までに発表したところによると、南極大陸の西側(あの突き出たところ)の棚氷に巨大な亀裂が入っているという。
しかもこの棚氷は「ラーセンC」と呼ばれているが、そこに入った亀裂が先月ころから急激に伸びており、現在は80キロの長さになっている。
これが後20キロ伸びると、その棚氷から巨大な氷山が分離することになるという。
どれほど巨大化というと、面積が約5000平方メートルで、日本であれば千葉県くらい、米国であればデラウェア州ほどの巨大さだという。
研究チームによれば、分離は数ヶ月以内である可能性があるらしい。
実は2002年にも近くにあった「ラーセンB」という棚氷がやはり分離したが、このときは地球温暖化の影響だと考えられていた。
しかし、今回の「ラーセンC」の亀裂については、地球温暖化と関係があるかどうかわかっていない。
ただ、「ラーセンC」が分離すれば、南極半島の地形は変わることになる。
ところで、これだけの氷山が分離されたら海面が上昇するのではないかという報道があるが、研究チームのマーティン・オリアリー氏は、この氷山がいかに大きくとも、地球の海洋の大きさを考えれば、すぐさま海面上昇にはつながらないだろうと述べている。
ただ、この棚氷の崩壊によって、これまで「ラーセンC」がせき止めていた内陸部の氷河が海に流出してしまうような事態に発展すれば、海面を10センチほど上昇させる可能性もあるとしている。
それにしても千葉県ほどの氷河とは、壮大なスケールだ。
【参考】
南極で巨大氷山が分離のおそれ 海面上昇の可能性も | NHKニュース
CNN.co.jp : 南極の棚氷に割れ目、巨大氷山が分離か 英研究チーム
南極で巨大氷塊が分離へ 海面上昇の恐れ 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News