マスコミでは、ヒラリー・クリントン前国務長官(もう67歳か…)が大統領選の為にTPP反対に翻ったかの報道をしているが、彼女の発言を見ると、翻ったわけではなく、「米国が妥協せねばならないTPPじゃぁ駄目だ」と主張しているようだ。
7日に放映されたPBS(米公共テレビ)の番組中では、
「私が設定した高い水準を満たしているとは思わない」(2015/10/8:Bloomberg.co.jp)
と発言したようだ。特に通貨操作条項が具体化されなかったことや医薬品の開発データの保護期間が短縮されたことを妥協だとして批判している。
クリントン氏は国務長官時代にはTPPを強く支持していたため、今回の発言が「TPP反対に翻った」と報道された。
いずれにせよ、マスコミが「翻った」という印象をかき立てている以上、批判されそうではある。
マスコミがクリントン氏を批判しているのは、彼女が大統領選で民主党候補の指名獲得を得たいために考えを変えたからだというニュアンスだ。
どういうことかというと、民主党の支持基盤である労働組合は、雇用が失われるとしてTPPに反対しているのだ。
そしてクリントン氏と候補を争うサンダース上院議員は以前からTPPに反対しているため、このままだとクリントン氏は労働組合の支持を失う。
また、もう一人ライバルとなりそうなバイデン副大統領との差別化を狙ったとも見られている。
バイデン副大統領はまだ出馬表明していないが、出馬するだろうとみられている。そして彼は(今のところ)明確なTPP推進者だ。
このまま13日の候補者討論会に突入すると、クリントン氏はTPP反対していることで集中砲火を浴びるだろうというのだ。
それを彼女は避けるためにTPP反対に変心したという。しかし、彼女の主張はTPP反対では無く、TPPで妥協するな、ということだ。やはり集中砲火は受けるのでは無いだろうか。
いずれにせよ、TPPは米国でも反対派が多い。クリントン氏の今後の発言が注目されている。