3月17日、自動車部品メーカーのアイシン精機と千葉工業大学の未来ロボット技術研究センター「fuRo」が共同で、小型の3輪パーソナルモビリティ『ILY-A(アイリーエー)』を発表した。
『ILY-A』は用途に応じて4つの形に変形するパーソナルモビリティで、名称は「Innovative Life for You」と「Active」の頭文字が使われている。
シニアカーや電動アシスト自転車としての利用方法を想定しており、シニアだけでなく、若者もターゲットにしているという。
アイシン精機は、『ILY-A』の5年以内の製品化を目指している。
4つのモードに変形して使い易く
『ILY-A』は電動式の小型パーソナルモビリティで、全長は965mm、幅は440mmだ。
最高速度は時速10kmで、フル充電であれば通常の使い方で丸一日は使えるという。ただ、走行距離はさらなる軽量化により、市場投入時にはかなり伸びる見込みだという。
また、『ILY-A』はロボット技術が取り入れられているため、後述する各種安全機能がある。
そして『ILY-A』の最も大きな特徴は、用途に応じて4つのモードに変形することだろう。
4つのモードとは以下の通りだ。
ビークルモードは、座席に座って乗る際のモードだ。
キックボードモードは、立ち乗りで地面を蹴って進む事ができる。
カートモードは、重い荷物などを運搬する際のモードだ。
キャリーモードは、『ILY-A』を折りたたんでキャリーバックのように運ぶことができる。
操作はアナログスライドパッド方式を採用した。ハンドルに用意された十字キーを使うのだ。セグウェイの様な体重移動方式を採用しなかったのは、誰でも簡単に操作する方法としては体重移動は適さないと判断したからだという。
また、キックボードモードの際は、人力で動くかモーターで動くかが自動的に判断され、カートモードでは『ILY-A』の利用方向が逆になるため、ジョイパッドは自動的に左右逆の機能に切り替わる。
ロボット技術を採用した安全性
さて、『ILY-A』のもう一つの特徴であるロボット技術の採用は、安全機能と自己診断機能、そして操縦支援機能として発揮される。
安全機能としては、『ILY-A』のハンドル下部に搭載されたレーザースキャナが、周囲5メートルを常にリアルタイムマッピングしている。
そのため、人や障害物が現れてぶつかりそうになると自動的に停止する事ができる。また、障害物が多い環境に入ると、自動的に減速する。
また、周囲をスキャンすることで、人の流れに並走することもできるという。
自己診断機能では、『ILY-A』に搭載された知能化自己診断監視機能によって、もし『ILY-A』自身に異常を検知すれば、すぐに非常停止モードに入ることで事故を防ぐ。
操縦支援機能では、各モード時に最適な車輪の駆動を制御したり、障害物を検知するとLEDが点滅して知らせるなどを行う。
ターゲットの広さが気になるが
『ILY-A』は「次世代の足」として提案されており、人とモビリティの関係に新しい提案をするものだと位置付けられている。
ただ、ターゲットが若者からシニアまでと広いことが、マーケットでは吉と出るか凶と出るか分からない。
また、欲を言えば、せっかくの変形が人手でガチャガチャなるのではなく、各モードスイッチを押せば自動で変形するくらいの先進性も欲しい。
もっと欲を言えば、変形をスマートフォンから命令できるとクールなのだが…。
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