1月17日。作家の平井和正氏が76歳で亡くなった。
もう数十年も昔。私は彼の作品を読まなくなりながら大人になっていった。
平井和正氏は、我が青春時代では非常に大きな存在だった。
氏の名前を久しぶりに見て、中学時代の様々な友人や、好きだった女子や、教師たちの顔が浮かんだ。
今でも、恐らく平均以上に読書をする習慣を私にもたらしたのは、間違いなく平井和正氏である。
なにしろ私が自分の小遣いで始めて書店に行って購入した文庫本は、氏の『サイボーグ・ブルース』だった。
この本を、衝撃を持って読み始め、むさぼるように読み続け、鳥肌を立てて読み終えた記憶がある。
「大人達はこのような贅沢な時間(読書)を持っていたのか!」
その後、中学で日本のSF作家の小説が流行ったことも重なり、ウルフガイシリーズやアダルト・ウフルガイシリーズにもどっぷりと浸っていった。
『ゾンビー・ハンター(死霊狩り)』も『メガロポリスの虎』も『悪霊の女王』も『魔女の標的』も『怪物はだれだ』も読んだ。
男友達とも、好きだった女の子達とも、平井和正氏を中心とする日本SF小説を回し読みしては熱く語り合ったものだった。
そう、私の中学時代は、平井和正氏の作品を読むことを中心に回っていたとすら思える程のめり込んでいた。
しかし、高校に入学すると、新たなマイブームに追いやられて、自然と遠ざかっていったのだ。
そうやって消えていくのが青春時代のブームで有ろう。
私は氏の全作品を読んだわけではないが、私の読書生活にとって、最も大きな影響を与えた作家であることは間違いなかった。
平井和正氏の作品は、多感な男子学生の想像力を激しく揺さぶったのだ。
心より、哀悼の意を表します。